LINEで妹に連絡した。
「なにかあった?」
「いや、別に。そろそろ愚痴が溜まってるころかと思って」 と言ったら、
「はーーーーーーーーーーーー!
すごい!
よくわかったね!!!
いや~、神の領域だね!!!」
ビンゴだったらしい。 別に私のカンが良かったというよりも、ある一定時間が来たら、愚痴が溜まっているという法則にのっとって聞いてみただけの話だった。
愚痴の対象は、いつものように"夫"だった。
(愚痴部分は読みたい人だけどうぞ。)
「(中略)・・・ で、K君が割ったガラスをその辺に置きっ放しなんだよ。
○○子(あかんぼ)が口に入れてたからびっくりして、私、言ったの。
どうして片付けてくれないのって。 そしたら、謝らないの。
・・・だからとか、よくわからない理由つけて。
こんなの置いてたら、怪我するじゃない? どうして素直にごめんって言えないの?
どうしてすぐ片付けられないの?
(中略)
友達がいろいろたまって、赤ちゃんと一緒に里帰りしたらしいんだけどさ、
その時に、電話で旦那さんにいろいろぶちまけたんだって。
里帰りから家に戻ったら、旦那さんが友達に
「何したらいい?」って聞いてきたんだって。
すごく優秀じゃない?
『何したらいいですか?』なんて、まるで…
会社に入った新人が言うセリフじゃない?
新人にも言えることが…、
どうしてあの人は新人にもできることが言えないの!?
どうして、 どうして、 どうしてーーーー!?」
彼女の「どうして」は止まらない様子だったが、お互い時間的制約があったので、この日の愚痴はここでおしまいだった。
去年だったか、電車のゼクシィの広告でこんなコピーをみた。
「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」
たしかに結婚することが幸せと直結しない時代に私たちは生きている。
妹も自らの意思で、自ら望んで結婚したはずなのだが、愚痴は止まらない。
彼女は、結婚前の、今の夫と婚約中の頃、職場で既婚者で子持ち女性にアンケートをとったそうだ。
「生まれ変わっても今の旦那さんと結婚したいですか?」
結論から言うと、10数人中、イエスと答えた人は皆無だったそうだ。
質問はダイレクトには聞かない。
直球で質問を投げるのではなく、いろんな話を織り交ぜながら、そこで夫のことや子どものことについてなど聞いたのだそうだ。
ある人と話をしている時、妹は慎重に言葉を選びながら聞いた。
「もしも…、もしもですよ。 生まれ変わって今の旦那さんと出会ったとしたら…」
「ない、ない、絶対ないッッッッ!!!」
答えた人は鬼の形相だった。
それ以外にも、このアンケートを通して、その家庭の旦那様たちが肩身の狭い思いをしているのことが明らかになった。
「洗濯ものが臭い」と言われ、
「お父さん、仕事から帰って来てずっとリビングに座ってるの、ほんと退いて欲しい!」と言われ…。
仕事から疲れて自分の家に帰って来たら、そら椅子にも座りたろう。
関係のない第三者の私が聞いていても不憫になる。
妹はこのアンケートの後、軽い鬱になった。
ある種のマリッジブルーというやつか。
「好きな人と結婚しようが、誰と結婚ようが、最後は一緒」
そう思ったという。
このアンケートには質問の続きがあった。
「生まれ変わっても子どもを持ちたいか?」
これには全員がイエスと答えたという。
今の自分と全く同じ魂をもった子どもでなくていいが、「子どもは持ちたい」と全員が望んだということだった。
小規模アンケートの結果、「旦那への愛は少ないが、子どもはかわいい」という子持ち女性の輪郭が見えてきた。
なんにせよ生きがいがあることはいいことだ。
好きで好きで、あんなに一緒になりたかった相手なのに、最後は好きでなくなってしまう(かもしれない)。
そうとわかっていながらも、彼女は結局、結婚していった。(続く)